制度チャンネル〜ブログ版〜

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医療や介護の複雑な制度を解説します。

難病等複数回訪問加算とは

難病等複数回訪問加算とは

介護保険では、所要時間に応じて訪問看護費を算定できるが、医療保険では、基本的に1日に何回訪問しても基本療養費の所定額を1日に1回しか算定出来ない。

しかし、厚生労働大臣が定める疾病等の利用者、特別訪問看護指示書期間の利用者に対しては、難病等複数回訪問加算として算定が可能。

対象

1日に2回又は3回以上訪問看護を実施した場合に算定が可能

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料金

難病等複数回訪問加算①

料金は表の通りです。1日に2回訪問した場合は4500円(4000円)、3回以上訪問した場合は8000円(7200円)が加算されます。3回訪問した場合、基本療養費+難病等複数回訪問加算(2回目)+難病等複数回訪問加算(3回目)ではなく、基本療養費+難病等複数回訪問加算という計算になります。

難病等複数回訪問加算②

1日に複数回訪問した場合の基本療養費・管理療養費・難病等複数回訪問加算の計算をしました。

1日に3回訪問した場合、5550円+7440円+8000円=20990円となります。3回訪問していますので、1回あたりの料金は6997円となります。

1日に4回訪問した場合、5550円+7440円+8000円=20990円となります。4回訪問していますので、1回あたりの料金は5248円となります。4回目以上は1回の料金が基本療養費より安くなる計算となります。

難病等複数回訪問加算③

次に、1週間に2回訪問した場合、別日に2回と同日に2回の料金を比較しました。

1週間に2回、別日に訪問した場合、基本療養費・管理療養費は両日ともに算定できます。難病等複数回訪問加算は算定できません。

1週間に2回、同日に訪問した場合、基本療養費・管理療養費・難病等複数回訪問加算が算定できます。

合計で比較すると、別日2回の方が料金が高くなります。


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理学療法士、作業療法士または言語聴覚士の訪問

PT,OTまたはST
理学療法士作業療法士または言語聴覚士の訪問による訪問看護は、その訪問が看護業務の一環としてのリハビリテーションを中心としたものである場合に、看護職員の代わりに訪問させると位置付けられている。

厚生労働

単位数

連続して1日に3回以上訪問

→3回とも減算

午前中に2回、午後に1回の合計3回

→3回とも減算

2ヵ所ステーション、同一日にAステーションが2回、Bステーションが2回の合計4回

→それぞれのステーションで減算


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理学・作業療法士は名称独占?業務独占?どっちなの??


「名称独占」と「業務独占」のについてのお話をします。

この名称・業務独占について、理学療法士作業療法士であれば一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。この話題を肴に酒を酌み交わす方もいらっしゃるのでは?

 

国家資格とは?

名称独占や業務独占のお話をする前に、まずは国家資格とはどういったものなのかという説明をします。文部科学省のHPにわかりやすい説明がありました。

国家資格

国の法律に基づいて、各種分野における個人の能力、知識が判定され、特定の職業に従事すると証明される資格。法律によって一定の社会的地位が保証されるので、社会からの信頼性は高い。引用:文部科学省

 

 

国の法律に基づいた資格であることがわかります。社会からの信頼性が高いとのことです。そして、ここからが今日の本題です。 国家資格はいくつかに分類されます。

以上の4つです。

業務独占や名称独占という言葉はよく聞いたことがあると思いますが、国家資格の分類の一つなんですね。正確には業務独占資格名称独占資格というそうです。

名称独占資格とは?

名称独占資格資格がなくてもその業務に従事する事はできるが、資格取得者のみ特定の資格名称(肩書き)を名乗ることができ、資格を所有していない者が法律に定める特定の名称を名乗ることができない資格です。

また、名称独占の資格に類似したり、名称独占資格に関連している資格のように紛らわしくした名称を使用することが禁止されています。

引用:資格の王道

ざっくり言うと、資格をとればその資格の名称を名乗ることができますよ、ということです。 こういうことは箇条書きにするとスッキリします。

  • 資格がなくてもその業務に従事することはできる。
  • 資格取得者のみ特定の資格名称(肩書き)を名乗ることができる。
  • 資格を所有していない者が、法律に定める特定の名称を名乗ることはできない。

以上のようになります。

 

資格がなくてもその業務に従事することができる、というのは驚きですね。独占しているのは名称のみ、ということです。その業務を行うに当たって資格は必要ではない、とも言えます。

 

つまり、その業務を無資格者が行っても法律違反になりません。名称独占資格は特定の資格の名称を名乗ること「だけ」できます。 理学療法士作業療法士、そして栄養士や保育士などの資格がこれに当たります。

3  この法律で「理学療法士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、理学療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、理学療法を行なうことを業とする者をいう。 4  この法律で「作業療法士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、作業療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、作業療法を行なうことを業とする者をいう。

理学療法士及び作業療法士法 第一章 総則 第二条)

業務独占資格とは?

業務独占資格特定の業務に際して、特定の資格の免許、免状等を有する者だけが業務を行うことができ、資格がなければその業務を行うことが禁止されている資格のこと。

引用:資格の王道

業務独占資格を持っている者でないと、当該業務を行うことが出来ません。

医師は医療行為を行いますが、これは医師免許を持っているからですね。医師免許を持っていない者が医療行為を行えば当然罰則があります。

 

これも箇条書きでスッキリさせてみましょう。

  • 特定の資格の免許、免状等を有するものだけが業務を行うことができる。
  • 資格がなければその業務を行うことが禁止されている。

名称独占資格とは全く違います。医師、弁護士や公認会計士がこれに当たります。

第十七条  医師でなければ、医業をなしてはならない。 第十八条  医師でなければ、医師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。

医師法 第四章 業務 第十七条、第十八条)

名称独占資格業務独占資格

名称独占資格業務独占資格の違いについてお話しました。名称のみを独占しているのか、業務を独占しているのか、ということが違います。

ここで一つ疑問があります。なぜ国家資格は名称独占と業務独占などに分類されるのでしょうか。

せっかく頑張って勉強して取った資格なのだから、業務を独占したい!!と思うのが自然なのではないでしょうか。

名称独占資格のように、名称のみを独占する、資格がなくても業務に従事できる、とかややこしいだけではないですか?

なぜ2つあるんだろう?考えてみました。

全ての資格が業務独占だときっと社会が混乱してしまうからだと思います。

例えば、調理師免許が業務独占資格だとしたら・・・、家で料理出来なくなってしまいますもんね。でも、ふぐ調理は業務独占資格でないと困ります。みんなふぐ中毒になってしまいます。

例えば、保育士が業務独占資格だとしたら・・・、子育て・保育が出来なくなってしまいますね。

例えば、理学療法士作業療法士業務独占資格になると・・・、たくさんの考え方があると思いますが、と前置きしておいて、在宅で対象者のご家族や多職種の方が対象者に理学療法作業療法を行うことが出来なくなってしまいますね。そうなると、地域包括ケアシステムがうまく稼働するかどうか・・・、んー微妙です。

 

しかしながら、前述した「資格がなくてもその業務に従事することができる」という点はどうでしょう。

 

我々は日々努力し技術を身につけています。実際には資格を持っていない方が有資格者と同様の技術を対象者に提供することは難しいことだと思いますが、法律的に資格を持っていない方も理学・作業療法を行うことが出来るということは腑に落ちませんね。

 

業務を独占するのか、名称を独占するのか資格によって分けているということは、我々の生活する社会に非常に重要な影響を及ぼすと考えていいと思います。何を独占するのか明確に分けておかないと、社会にとって不利益になってしまうこともあるのです。

最後に、、、

名称独占資格は取得するに値しない資格だ、社会的価値は弱い、と考える人がいるかもしれません。でも、その資格に与えられた意味と社会的な役割は、名称独占資格であるか業務独占資格であるかだけでは決められないことだと私は考えています。

 

社会的に考えれば、名称独占でないとダメな資格もあります。そのほうが社会的に利益につながることもあります。理学・作業療法士は大きな枠組みで考えたときに、名称独占資格として社会に利益を与えているのだと私は考えています。

 

技術職なのだから、とか、特殊な技術を持っているから業務独占資格に!!という考え方も理解が出来る部分もありますが、いささか乱暴な考え方のようにも思います。 大切なことはどのような資格であっても、その資格に与えられた使命を果たすことであり、社会に貢献することだと私は考えます。

長時間訪問看護加算(介護(予防)・医療保険)

長時間訪問看護加算(医療保険介護保険

介護保険(予防)の長時間訪問看護加算とは

特別な管理を必要とする利用者に対して、1時間30分を超えて訪問看護を提供することで算定できる加算。

単位数

300単位/1日

対象

特別管理加算の対象になる利用者

  • 在宅悪性腫瘍等患者指導管理
  • 在宅気管切開患者指導管理
  • 気管カニューレの使用
  • 留置カテーテルの使用
  • 在宅自己腹膜灌流指導管理
  • 在宅血液透析指導管理
  • 在宅酸素療法指導管理
  • 在宅中心静脈栄養法指導管理
  • 在宅成分栄養経管栄養法指導管理
  • 在宅自己導尿指導管理
  • 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理
  • 在宅自己疼痛管理指導管理
  • 在宅肺高血圧症患者指導管理
  • 人工肛門、人口膀胱の設置
  • 真皮を越える褥瘡
  • 週3日以上の点滴注射

算定要件

所要時間1時間以上1時間30分未満の指定訪問看護を行った後に、引き続き指定訪問看護を行い、所要時間を通算した時間が1時間30分を超えていること

留意点

    • ケアプラン上1時間30分以上の訪問が位置付けられていなければ算定できない。
    • 長時間訪問看護加算を算定する場合、訪問看護ステーションが独自に定めた利用料の支払を受けることはできない

医療保険の長時間訪問看護加算とは

  • 長時間の訪問を必要とする利用者に対して、1時間30分を超えて訪問看護を提供することで算定できる加算。
  • 対象となるご利用者様の疾患、基本療養費の種類によって、長時間訪問看護加算と長時間精神科訪問看護加算がある

料金

5200円/1日

医療保険の長時間訪問看護加算の対象

①特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を受けている利用者

②15歳未満の超重症児または準超重症児の利用者

超重症児とは、超重症児(者)判定基準による運動機能が座位までであり、かつ判定スコアの合計が25点以上の者

準超重症児とは、判定基準による運動機能が座位までであり、かつ超重症児(者)判定スコアが10点以上25点未満である者

③特掲診察料の施設基準等別表第八に掲げる者

算定要件

1回の指定訪問看護の時間が1時間30分を超えること

留意点

長時間訪問看護加算を算定する場合、訪問看護ステーションが独自に定めた利用料の支払を受けることはできない

算定回数
週に1回算定可能
  • 特別訪問看護指示書又は精神科特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を受けている者
  • 特掲診察料の施設基準等別表第八に掲げる者
週に3回算定可能
  • 15歳未満の超重症児又は準超重症児
  • 15歳未満の特掲診察料の施設基準等別表第八に掲げる者


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入所日・退所日・入院日・退院日の訪問について(2022年まとめ版)

入・退院日、入・退所日同日の訪問看護

介護保険

入所日・入院日

算定可能

退所日・退院日

算定不可

※特別管理加算の対象者、主治医が認める者は算定可能

※短期入所生活介護は算定可能

医療保険

入所日・入院日

算定不可

訪問看護を行ったあと、緊急に入所・入院することになった場合は算定が可能

退所日・退院日

算定不可

医療機関からの退院の場合で、

に限り、退院日に訪問看護ステーションの看護師等(准看護師除く)が療養上の指導を行った場合、1回に限り、退院日翌日以降の初回訪問看護の際に退院支援指導加算を算定することができる

外泊

施設入所者

外泊または試行的退所をした場合、介護保険医療保険ともに算定出来ない

医療機関に入院中の者

在宅療養に備えて一時的な外泊(一泊二日以上)の場合で

上記の場合に限り

が算定可能(指示書は必要)


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You Tubeチャンネルの紹介

制度チャンネル

こんにちは

「制度チャンネル」ブログ版・You Tube版を管理している訪問PTです。

今日は「制度チャンネル」を作った意図・思い、そして、こんなふうに活用してもらえたら、という私からのご提案をいたします。

中間管理職として

私は現在、訪問看護ステーションの中間管理職として働いています。新規の方の面談や契約、ケアマネージャーさんや地域の方からのご相談にのることもあります。

その中で必要となるのはやはり、医療や介護の複雑な知識です。

訪問看護は介護・医療にまたがるサービスです。医療保険のことも介護保険のこともきちんと把握していないと、ご相談に適切にお応えできません。

膨大な情報量

しかしながら、御存知の通り、医療保険介護保険、そして訪問看護の制度は非常に複雑で量的にも非常に多いです。

すべてを把握して理解するなんて、、、非常に骨の折れる作業です。

みんなで少しずつ共有

その膨大な情報量、複雑な制度の理解を全員が行う必要があるのか、というとそんな必要はないかと思います。詳しい人がきちんと把握していれば済む話です。QAなど参考すべき本もたくさんあります。

ですが、基本の「き」の部分をたとえば、訪問看護に勤める看護師さんや療法士さん、事務員さんが理解していれば、すごく物事がスムーズに運ぶと思います。

全部を理解する必要なんてないんです。

基本の「き」をみんなで共有しましょう。

新人教育の難しさ

では、だれが教えるのか。

多忙な訪問業務、請求業務の最中、時間を作って1から新人さんに教育する、、、

これも骨が折れます。

できたら誰かにお願いしたい、、、。

知ってほしい知識は限られているのに、毎度同じ話をしなければいけない、、、

そんな悩み、管理職をしていたらありませんか?

制度チャンネルの活用

そんなとき、「このチャンネル見ておいて!!」といえたらどんなに楽でしょうか。

「この動画だけ」とか「この動画のこの部分だけ把握して」とか管理職の方が説明しなくても「制度チャンネル」が変わってご説明いたします!!

You Tubeなら時間も場所も選びません。

インターネットがあって、デバイスがあれば、いつでもどこでも見ることが出来ます。

重い動画ファイルをわざわざダウンロードする必要もありません。

仕事の合間でも、お風呂に入りながらでも、布団の中でもいつでも見れます。

見なくても、運転中に垂れ流し聞きすることもできます。

どうぞよろしく

まだまだ動画を作り始めて日が浅いので、クオリティは低いかもしれません。

これからどんどん作ってよりよいものを皆さんにご提供出来ればと思っています。

今後とも宜しくお願いいたします。

https://www.youtube.com/channel/UCryhdvKYPDoxGsOK-73PzKg

 

就労継続支援A型とB型、就労移行支援との違い

就労継続支援とは

  • 障害や病気のために一般企業等での就労が困難な人々を対象とした福祉サービスのこと

  • 就労の機会をの提供

  • 生産活動その他の活動の機会の提供

  • 知識・能力の向上のために必要な訓練を行う

  • 障害者総合支援法に基づく

  • 就労継続支援にはA型、B型の2種類がある

  • 就労移行支援とは別物

就労継続支援と就労移行支援の違い

  • 就労移行支援と就労継続支援は対象者と支援内容が異なる。

  • 厚生労働省「障害者総合支援法における就労系障害福祉サービス」

障害者総合支援法における就労系障害福祉サービス

就労移行支援は一般就職に向けたトレーニングや就職自体の支援で、就労継続支援は就労の機会提供という特色が強い福祉サービスである。

そのため、就労移行支援は期限制限があり(原則2年)、賃金は基本的に発生しない。これに対し、就労継続支援は期限制限がなく、賃金も発生する。

就労継続支援A型・B型の違い

  • 就労継続支援は、一般企業などに雇用されることが困難な人を対象にする
  • A型とB型の2つに分かれる
  • 最も大きな違いは利用者と事業所の雇用関係の有無
  • 厚生労働省「障害者総合支援法における就労系障害福祉サービス」

就労継続支援A型B型の対象者

就労継続支援A型

  • 雇用契約あり
  • 法律で規定された最低賃金以上の賃金を受け取ることが可能
  • 事業所で行われる作業はバリエーション豊富

就労継続支援B型

  • 雇用契約なし
  • 成果物への報酬の「工賃」というかたちで賃金を受け取る
  • 工賃は法律で定められている最低賃金にはよらない
  • 利用者が自身の状況に合わせてペースを崩さずに働くことが出来る
  • 比較的簡単な作業が多い
  • 必要なスキルや体力がつけば、就労継続支援A型や就労移行支援、一般就労に移っていくことも可能

就労継続支援A型とB型、就労移行支援との違い